ナウ アンド シングス−椅子と埴輪

2023

ナウ アンド シングス−椅子と埴輪
2023 / 800×3800×H.1100mm / IKEAの椅子、木片、埴輪、テラコッタ、合板 / 800×3800×H.1100mm /photo: Daisaku OOZU(4枚目の写真のみJun Homma撮影)

この彫刻シリーズは、日常的な風景の写真や、置物や椅子などの既存のobjectなどが彫る、削るなどの彫刻的なアプローチにより消滅していき、更にその消滅が新たな事物の生成に接続されていく様を一つのタイムライン上に提示するものである。それは取るに足らない事象が辿る過去や未来を通して、美術史や文明を俯瞰し、新たな視点や考察に接続していく試みである。
本来は不可視である時間そのものを顕在化させるこれらの試みは、「即今」という禅語にヒントを得た。それは「移りゆく時間のほかに永遠はなく、永遠とは絶対的な「今」である」という意味である。
事物が生成された始まりとしての過去、今ある姿としての現在、消滅や崩壊を予感させる未来の「即今」に一瞬で対峙する時、人は何を見るのだろうか? 芸術や宗教の始まり、科学とテクノロジーの発展、戦争や環境破壊、そして未来にはどのような世界の姿を重ね合わせるであろうか。